泊地情報  遠州灘「赤羽根漁港」(愛知県)

静岡県「安良里」から兵庫までの8日間、回航で行った様々な泊地をご紹介。

今回は特に情報の少ない愛知県「赤羽根漁港」をピックアップしました

 慣れた海域でも急な天候の変化や艇のトラブルなど、何が起きるか分からないのが海洋レジャー。

 

仕事として回航を行う場合、クルーの安全確保は当然ですが、艇の状態を良好なまま納艇するため、極力マリーナなどを利用するのが当社の回航のスタイルです。

 

しかしながら相手は自然。予定通りに進まなかったり、天候の悪化など、予期しない出来事でスケジュール通りに行かない事も事実。

そこでリスク回避のため、事前に様々な泊地を調べておき、万が一に備えておくのもシーマンシップに結びつくのではないかと考えています。


クルージングや回航の一助となれば幸いです。

(右写真は鳥羽マリーナ)


延々と続く遠州灘、最初の泊地は「福田漁港」

 回航と言っても、常に苦しい訳ではなく、天候や風に恵まれた回航なら実に楽しい時間になります。

そういう意味では今回は「大変苦しい」回航になったと思います。予報通り、初日から雨。二日目は御前崎を超えて2時間ほど西に向かったあたりでのエンジントラブルに見舞われ、一人はセイリングで上り、もう一人はキャビンでエンジンの修理を行いながら西へと進むかたちでなんとか切り抜けました。

日没後1920頃に、遠州灘最初の泊地「福田漁港」に到着。

この港については様々な情報がネットで見られるので割愛しますが、毎回、比較的入港しやすい漁港と感じます。

港の入り口さえ気をつければ特に問題はないでしょう。

ただし、早朝の漁船が出港する時間はおとなしくしておいた方が良さそうです。

出入り口が一カ所しかなく、漁船が群れをなして出港するのでこの時間は大変危険。

「福田漁港」を出航してからの悪天候と逆潮で予定を変更。急遽「赤羽根」に。

 初日の「富士山羽衣マリーナ」で手厚い歓迎を頂き、二日目は「福田漁港」。福田までのエンジントラブルを除けば予定通りのスケジュールで進みます。

 

3日目の予定は「鳥羽マリーナ」難しいようなら「伊良湖マリーナ」を目標に0630頃に福田を出港。

沖に出てしばらく進んだ段階で艇速を見ると、3ノット程度しか出ていない。完全な逆潮とアゲインストの中をトロトロ進みますが、雨風はますます強くなるばかり。

浜名湖を過ぎたあたりで完全にタイムアウト。このままでは伊良湖にすら着くのは難しいと判断し、急遽針路を赤羽根に変更。

 

赤羽根は事前に調べてはいたのですが、私たちにとっても初の泊地。GPSと目視で慎重に港に針路をとり進みます。

赤羽根漁港の出入港口はちょっと分かりにくい!?

 鳥羽を目指していたので、結構な沖まで出てしまっていた影響で、赤羽根の岸まで行くのも時間がかかる。ほぼ5マイル沖を鳥羽に針路を向けていたので、変針するなら早ければ早い方がロスが少ない。

 赤羽根に針路を向け、GPSで針路保持しながら、目視でも確認してみると、うっすらと赤灯台が見えてきます。

赤灯台のすぐ横に入港路があるのですが、少し沖から見ると、テトラが横にずらーっと並んでいるようにしか見えず、本当にここから入港できるのか不安になる。

加えてGPSに記載されていない堤防のようなものも見えてくるので、本当にここが赤羽根なのか?と不安がよぎるが、GPSは間違いなく赤羽根を指している。

 

灯台横の出入港口の左右に並んだテトラが、角度によっては1つに並んでいるように見えて入港路がないように見える。

赤羽根へのアプローチは、とにかく真ん中を狙って入港が重要

 クルーと二人で目に穴が空くほど漁港の入り口を探すも、どうにも分からず、結局GPSに従おうという事に。GPSに記載されている赤灯台横まで近づいてみることにすると、出入港口が見えてきた。ここは手前の東西にブイがいくつかあるので、大回りで避けて通る。

写真の赤灯台の左側の堤防と出入港口の右側の堤防、そして漁港内への進入路の岸壁が同じような色なので、近づいてみないとまるで1本の堤防のように見える事が判明。

  とりあえず漁港の入り口を目指して近づくと、赤灯台を入った内側は左右に分かれている。沖から見て左に入ると浅瀬であり、ここは以前、夜中にヨットが避難してきた際、間違って入り込み座礁した過去があると、後に漁師さんに聞いた。

当然の事ながら遠浅の遠州灘の中にぽつんとある港だけに、港の入り口のみが少し深く掘られているだけで、あとは浅瀬である。

赤灯台を抜けて岸に向かって右側を進んでいくと漁港に向かう。さらに右手の陸上に、オレンジ色の建物が見える。そこが道の駅「あかばねロコステーション」で、ここは食事やトイレも利用可能。レストランは夜遅くまでやっているらしいので、ここで食事をしても良い。

 この日はとにかく北風がひどく、漁港へのアプローチが完全なアゲインストだったのもあり、入港したらすでに日没直前だった。やはり針路を変更して良かったと実感。慣れていない海でオーバーナイトを敢行し、オンザロックや網にひっかけて海保のお世話になった話しもよく聞く。

決して無理はせずに、念には念を入れての回航をしないと危険な目に遭うので、決して無理な計画は立ててはならない。

 海での油断は命取りになるか、莫大な損害賠償を請求されるか、そういう悲惨な結末が待っている。

港内の底質はヘドロ。強風ではアンカーが効きにくく漁船に横抱きが賢明

 漁港内に入り、情報の通り、上の写真にある「槍付または横着け可」の場所に舫をとるべくアンカーを用意して岸壁に近づくが、何度アンカーを入れてもテンションをかけてしばらくするとスコっと抜ける。

仕方ないので、岸壁に横付けしようと艇を横付けし舫を持って二人で岸壁に上がる。ボラードに舫をかけようとしていると、背後から気配を感じる。見てみると、軽トラに乗った漁師らしい男性から、アンカー入れて真っすぐ止めないと今日の風だと艇を傷つけるよ〜。分かっているが、アンカーが入らないと伝えると、ここは底がヘドロだからなぁ…と言われる。

 今日は北からの風が強いし、潮が引いたら緩衝材のゴムの下端が船に当たってボロボロになるから向こうに止まっている漁船の横に着けたらいいよ!と言われた。

すぐに船を向こう岸に止めている漁船の横に着けさせていただき、お礼を言いに行く。

 

 お礼を言いに行くと、ニタニタしながら「なんやぁ!野郎二人で船旅か!? ギャルでも乗せてたら楽しいのにな!がはは!」と言われ、よく考えてみると確かにその通りだと、隣の無精ヒゲを見ながら妙に納得したが、こんな時化と風の日にギャルを乗せて何日も揺られながら過ごす訳にはいかない。きっと急に怒りだして「すぐに降ろして!」と大海原の真ん中で騒ぎだすに違いない。

 そんな事を考えながら「あの…すみません、ありがとうございました。ところでお風呂は近くにありますか?あと食品を買い出したいのですが…」と聞くと、すぐにあちこちに電話をしてくれ、風呂はないがシャワーは先ほど槍着けしようとした場所の前にある民宿のようなところで使える。待たせているからすぐに行ってこいと言われ、さっさと向かう。

どうやら道の駅「あかばねロコステーション」にはシャワーはないらしい。

 

 シャワーを済ませ、さっぱりすると安心感からか疲労感と共に無性に空腹を感じた。すでに時間は2000を過ぎており、さきほどまで開いていた店もクローズしているように見えた。

 iPhoneで調べてみると、歩いて2キロのところにコンビニとドラッグストアがあるので、ぼちぼち歩いて買い出しに向かう。(コンビニとは逆方向、近くにスーパーがあるらしいが、行ってみると閉まっていた。)この時間になると「あかばねロコステーション」も閉まっているだろうと思っていたが、次の朝に行ってみると、レストランはどうやら遅くまでやっているらしい。

 夜中、キャビンで就寝していたが、やはり風は相変わらず強いらしく、時折大きく船体が傾く。これは明日は日和待ちで1日足止めか…と思いながら寝たり起きたりを繰り返す。

 明日は鳥羽までの20マイルが限界かなぁと思いながら、いつの間にか寝ていた。

 0500あたりに起床。風を見るためデッキに上がると、やはり風が強い。クルーと相談し、今日は日和待ちかなぁとぼやきながら、風が収まるのを待つ。ふと見ると漁協の人がちらほらと出勤してこられたのをクルーが見つけ、話しをしに行った。

 帰ってきて、とりあえず給油のためのローリーが手配できると電話番号を聞いてくれたので早速電話して艇の前まで給油に来てもらう。1GMの20ℓ程度のタンクなので、予備の40ℓを携行缶に入れておけば充分。

 そうこうしているうちに道の駅も開き出したので、今後の参考に見に行ってみよう。ついでに沖の波も見てみようということになった。あかばねロコステーションは、レストランあり、地物のショップあり、そしてサーフショップまでもが入っていた。すぐ横にある砂浜を見ると、大勢のサーファーが波乗りを楽しんでいる。

情報では、ここはなにもなく、緊急の避難港として使う程度だと聞いていた。実際に夜になると何もないしタクシーを呼ぶにも30分かかる辺境の地です。

しかし、漁協や漁師の方々はプレジャーボートに対してとても好意的で、親切に接してくれます。


あまり肯定したくないのですが、マナーの良くないヨットマンもいるのは確かで、きっとこれまでここを利用した方々の印象が良いからこそ、こうして歓迎して下さっているのかな?と感じました。


浜名湖は危ない。となると遠州灘でヨットが入港できる港と言えば静岡の福田とここ赤羽根くらいしかなさそうなので、利便性だの云々を言う以前に、使わざるを得ない状況になった時、情報は多ければ多いほど有り難い。


ここは間違いなく、選択肢の一つとして入れておくべき港でしょう。

 

また、伊良湖に入るとマリーナなので確かに快適なのですが、一旦伊勢湾の中に入らないといけない分、鳥羽方面に行くのにも、浜名湖方面に行くにもどうしてもタイムロスが生じます。そう考えると赤羽根は港を出てすぐに遠州灘なので、どちらに行くにも効率が良いと感じました。

 

無事に終わった今だからこそこうして笑って話せる事も、一歩間違えると重大な事故や命を落とす事にもなりかねないと考えると、この仕事の難しさと、やり遂げたときの達成感の素晴らしさは何にも変えがたいものだと実感しています。


よくロングでも最低限の工具と簡単な服装で挑む方がいらっしゃいますが、工具は多めに、できれば洋上や泊地で普通に整備ができるくらいの準備と、服装も寒さや雨にしっかり対応したものを持って行く事は重要かと思います。

それは、自身の命を守るだけでなく、同乗者へのせめてものマナーではないかと痛感します。

 

今回準備したものは

 

◆工具のフルセット

 

◆軽油(携行缶)80ℓ分

 

◆セイリングジャケット、トラウザース、ライフジャケット、ハーネス

 

◆予備のオイル(4ℓ)

 

◆マグライト(ビッグサイズで照度の高いもの)

 

◆ハンディGPS(アイフォンにもGPS海図をダウンロード)

 

◆食料品(甘いものは疲労感や不安感を緩和します)

 

◆その他、諸々の必要備品(着替え、双眼鏡、ラジオ、火せんなど)

 

また泊地の情報をアップします。

 

ここを泊地として利用される場合の参考にして頂けると幸いです。

 

※写真内の表記「赤羽」は「赤羽根」が正解です。ご了承下さい。


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